Kevin Jones Interview

interview by Brett Downs

ケビン・ジョーンズは君が憧れるような人なんかじゃない。神でも、社交的でも、プロでも、ましてやフラットランダーでもない。君が知らないことは彼にも分からないし、その辺にいる普通の人と全く同じだ。それにシャイでも野心的でもない。君の住む町を訪れることもない。

 彼はライダー以外の何者でもない。それが彼がやっていることであり、生活の方法だ。それにケビンは僕の親友でもある。僕らはもう15年以上も一緒に乗ったり、色々なことをしてきた。その間、彼は一度もスーパースターだったり、伝説の人物だったりしたことはなかった。彼はただ、僕の親友だった。僕らは一緒に乗り、話をし、成長してきた。

 僕は、彼と友達ということで、ケブ(kev、ケビンの愛称)にインタビューしてくれないか、と頼まれた。僕にとって、分かりきった事を、あえて質問するのは奇妙だったが、確かに誰でも出来ることではない。このインタビューが彼を知るキッカケになるはずだ。ただ、覚えておいて欲しい。彼には長い歴史があり、多くのトリックを持っているが、彼は他の僕らと同じような、自転車バカなんだよ。 — Brett Downs

Brett Downs (BD) :ケブ。

Kevin Jones (KJ):ああ。

BD:ブライアン(このホームページの作者)が、「俺はフラットランダーって名前のウェブサイトを運営しているのに、ケビンのことが何にも載っていないのはおかしい」って言っていた。それと僕もケブのことを「ライダー」とは見ていたけれど、「フラットランドのライダー」だって意識したことは1度もないんだよね。ケブは自分自身を、ライダーと思っている?それともフラットランドライダーと考えている?

KJ:多分、ただのライダーと思ってる。それが気に入っている。フラットだけしよう、って考えたことはないな。「これが俺のやっていることさ。こういうちっぽけなトリックを色々やって、他は何にもやらない。」っていうのもなんかケチくさいしね。下らないな。だから「ライダー」だな。俺は。

BD:最初に始めたのはダートジャンプだったよね?

KJ:そう、確か10~11歳の時だった。

BD:それからアスファルトやセメントが舗装されたスケートパーク、サンダードーム・スケートパークに行ったんだよね?

KJ:そう、サンダードーム、俺はサンダードームで乗り始めた。15歳くらいだったかな。5年間くらい通いっぱなしだったな。それこからジャンプに集中していった。

BD:でも君は凄く上手かったよね。ヨーク(ケビンの住んでいる町)じゃ伝説だったからね。「ケビン・ジョーンズがきてね、あれをやったりこれをやったりしたんだよ!」ってね。1984年かその辺に、君は、僕とデイリーがテイルウイップをやっているのや、チャリにペグをつけているのを見て、フラットランドを再開するキッカケになったって言っていなかったっけ?

KJ:その通りだよ。デイリーがペグをつけているのや、みんなが乗っているのを、トリックチーム(ビデオ?)かなんかで見て、とにかくフラットに打ち込むようになった。以前よりもっと、ジャンプやランプライディングにも打ち込んだけれど、フラットランドは何か新しい、ジャンプやそれ以外の種類のライディング、レースとか、すでにあったカテゴリーから、1段上のステップのように見えた。とにかくフラットは目新しく、カッコイイことのように思えた。自転車で出来ることがもう1つ増えた、って思ったよ。

BD:そうだね、僕が最初に君と会った時、君はもうジャンプでは有名だった。でもみんなそれを知らないよね。君のランプライディングのことを話してよ。昔、ブライアンの家にあったクォーターパイプでやっていたことを。

KJ:ランプでは周りのみんなと同じように、雑誌で見たことばっかやっていた。雑誌で(マイク)ドミンゲスとかが新しいトリックをやっているのを見て、「これは出来るかもしれないぞ!誰かがこれと似たランプを持っていたな。やってみようかな」ってね。当時は雑誌に載っていたことを追っかけていたって感じだね。

BD:540が出来るまでどのくらい時間がかかった?

KJ:うーん、出来るまでにはかなり乗り込んだけれど、実感としては、いつの間にか出来た、って感じかな。「あ、これやってみよう。雑誌で見たことあるし、誰かが540っていうのをやっていたな。俺もやってみよう」って思ったその日の内に始めたんじゃなかったっけな。でもとにかく乗り込んだよ。360を数え切れないくらい毎日、何年も練習して、もう180度回転する感覚をつかんだ。そのおかげで早く出来んじゃないかな。

BD::1985年に、ブライアンの家でランプジャムを開いたけれど、どの位の高さまで飛べた?みんなハイエアーを頑張っていたみたいだけれど?

KJ::わからないけれど、当時でもそんなに高く飛べたほうではなかったんじゃないかな。主な理由として、ランプの程度があんまり良くなくて、高く飛び上がれるようなシロモノじゃなかったっていうのがあるけれど。確か5フィートも飛べればかなりいいほうだったんじゃないかな。最高でも7フィートくらいが目いっぱいだったと思う。でもその映像も残っていないし、沢山写真とか撮っていたわけじゃないからね。高さ8フィートのランプでは、5フィート以上、7フィート以下くらいのエアーで、当時で言ったらかなり凄い高さだったんじゃないかな。それでも難しかったよ。

BD:とにかく君はフラットだけのライダーじゃない、ってみんなに知ってもらった方がいいと思うんだよね。君はいつもダートやストリートもやっていたし・・・

KJ:そうだね。でも今の子たちがするような、でかいハンドレールに挑戦したり、そういった類のことをやり続けることは出来ないけれどね。今はもう、ストリートとかにはあんまり興味がないね。たぶん10年前に、今僕の周りにいるようなヤツらがいて、もっとしょっちゅうストリートをしていたら、たぶん、ストリートにハマっていたんだろうけれど。でも俺はストリートやその類のことに、そんなには深入りしてこなかった。確かに今でも少しは遊びでジャンプしたり、ランプを少しやったりはするけれどね。・・・

BD:家にトランポリンがあったのは小学校何年生くらいのころだっけ・・・

KJ:うーん。

BD:トランポリンは君のライディングや、他にやっていたこと、ブレイクダンスとかに影響はあった?

KJ:トランポリンは良かったよ。特にバランスの中心を感じ取るような訓練には最適だったね。自分の位置を把握するような能力、どう体が回っているか、曲がっているか、重心の軸かどこにあるか、それを維持できるような感性を磨くのにはよかったと思う。その後取り組んだ全てのことにおいて、役立つことになったしね。

BD:何で、ランプよりフラットランドにハマって行ったんだと思う?っていうのも君が、あのままランプライディングを続けていれば、絶対今のデイブ ミラやマット ホフマンのようになってたと思うんだけれど。彼らのレベルに到達したんじゃないかな、って。

KJ:そうかもしれない。でもフラットランドを理解すれば理解するほど、ランプを使ったカテゴリーよりも大きな可能性があるように見えたし、当時はフリースタイルのカテゴリーの中でも一番新しいモノだったからね。ありとあらゆる新しいモノが飛び出してくる、斬新なものに溢れていた感じだった。
とにかく、まだ未開の領域で、アメリカ中、または世界中にいるような、大勢のジャンプをするキチガイたち・・・ちょうど俺みたいなヤツら・・・より、もっと新しいことを学ぶチャンスがあると思ったんだ。とにかくフラットに絞って、他の人に比べて上手く出来る何かに打ち込んでいった方がいいと思ったんだ。それに、ランプでは、みんながやるような、メチャクチャ凄いトリックが出来るレベルにまで上達できるほど、自分はキチガイじゃないと思ったしね。

BD:僕らはずーっと一緒に乗って来たよね。だいたい、

KJ:50年?

BD:そうだね、僕ら2人の間では50年くらいいっしょに乗ってた感じがするよね。

KJ:(笑)

BD:自転車の性能が君のライディングに与える影響って、変わってきてる?

KJ:どういう意味?自転車それ自体が?

BD:今乗っている自転車と、20年前に乗っていた自転車と比べて。

KJ:自転車はとにかく丈夫になってきているね。でも大して進歩しているとは思わないな。っていうか、1985年に乗りやすいチャリンコを持っていたとしたら、1台、チャリを選ぼうとしたら、1985年とか86年のレベルで完璧なパーツを手に入れようとしたら、フラットランドに限って言えば、十分使えるパーツを手に入れられた。とにかく何でもあった。48本スポークのウィール、ジャイロ、全部あった。だから大して進歩してないけれど、全然進歩していないって訳でもないね。今はもっといいパーツが沢山あるし、昔は2,3本くらいしか、いいフレームがなかったけれど、今はもっと強く、高品質ないいフレームを沢山の中から選ぶことが出来る。でも違いなんてそんなもんだよ。

BD:夢のチャリって?

KJ:うーん、わかんないな。多分、軽けりゃ軽いほどいいね。軽いチャリにするっていうのは金がかかることは分かっているけれど、軽いチャリは乗りやすいよ。死ぬほど軽いのはダメだけれど、30パウンド前後ぐらいがいいね。それくらいが現在のフラットにはいんじゃないかな。それでなおかつ、ストリートにもランプにも、スケートパークのライディングにも使えるような。今あるチャリも近いけれど、もうちょっと軽いのがいいな。子供にから見ても手に入れ易いくらいまで低価格に出来るなら、フレームをチタニウムにするのもいいかもね。でも今ある自転車にはだいたい満足しているよ。文句を言うとしたら、ちょっと軽いのが欲しいってくらいだな。自転車は重くなりがちだからね。

BD:今までフラットランド専用の自転車に乗ることを考えたことある?それともオールラウンドな自転車に乗りたいと思っていた?

KJ:フラットランド専用のBMXを手に入れるとしたら、ちょっとした予備とか、遊び用としてだな。今、自分で組んだEPを持ってて、乗ってみたけれどかなり怖かったね。小さすぎて、道を走るにも、ギア比も全部ダメだね。ハンドルも狭いし。ほんと「予備」としてしか使えないね。自分がメインに乗りたいBMXは、どんなタイプのライディングにも使えて、乗り心地がいいようなヤツだな。全体的に見てバランスが取れたようなのがいいね。

BD:フラットのトリックで好きなのは何?

KJ:うーーーん、なんだろう、いっぱいあるな。ウィリー、普通のウィリーは最高だね。結局毎日やっているトリックだし。移動の時はとにかくウィリー。理屈抜きに面白いんだよね。長い間やってるから「楽しい」って思う以前に、知らないうちにウィリーしてる。
もっと突き詰めると、たぶん、基礎のトリックの中でも、ハング5やサーファーとか、ある一定のポジションでやるようなトリック、やっている間楽しめて、それに集中しなければならないような、ローリングスタイルのトリックが一番面白いのかもしれない。あえて選ぶならそれかな。
それから複雑なトリックのツナギは、とにかくもっと進化するために努力すべきモノ、っていうか、次のステップのためには通らなければならない道なんだろうけれど、必ずしも楽しく乗るのに何より大切、ってワケじゃないよね。とにかく長い間に渡って少しづつでも進歩していければいいな。

BD:楽しんで乗る、ってことに限って考えると、これが君がコンテストに出なくなって、行くこともなくなった理由なんじゃないかな、って思っているんだけれど、君は基本的に、自転車を15歳の時に感じていたのと同じ、「楽しみ」のままにしておきたかったのかな?

KJ:ああ、ほぼその通りだね。朝起きて最初に考えることは、まず自転車のことだ。自転車に乗りに行ける、って時はどういうわけか楽しい。時々、ただ金を稼ぐために、沢山のショーをこなしたりもする。才能があるからショーが出来るっていうのは、理屈にはあっているけれど、ショーにはそんなに興味はない。一番気にしているのは、いいライディングが出来る日々を追求することだ。みんなが乗っていて、楽しんでいて、晴れた日はいつでもいいもんだよ。それが最高の日々だね。

BD:企業からフルサポートを受けたいと思う?

KJ:いや、あんまり思わないな。俺と長い付き合いがあって、これまでにやってきたことを正しく評価してくれて、それを変えようとはしないような企業に出会わない限り、それはないな。ライディング、それ自身のために乗る。ビデオや雑誌、ショーやコンテストに行かなければならないのは分かっているけれど、そういうことには本当に興味がないんだ。
自分がメインに考えていることではない。っていうか、企業と関わって乗るのが良ければ、自分の能力を使って、商品を売り込もうとヤッキになることがいいと思うなら、すでにそうしているだろうし。それが理にかなっていると思えば。でも、うーん、誰にも分からないよ。

BD:今までに作り上げてきたトリックによって、君はいつも「伝説のライダー」って肩書きがついちゃうけれど、実際ほとんどのライダーは君のライディングを見たことがない。ここでみんなに「追っかけ」について話してよ。

KJ:「追っかけ」, 普通の意味での「追っかけ」のこと?

BD:それに関してはたっぷり話があるよね・・・

KJ:俺の「追っかけ」?

BD:そうだよ!

KJ:「追っかけ」がいて困ることは自転車に乗れないことかな。時々乗りに行くのが億劫になる。ジャムでもなんでも、ただそこにいたいんだ。みんなと同じようにそこにいる、っていうのがジャムだよね。
ジャムはコンテストとは違って、なんにも起こらないし、そこで乗らなきゃいけない訳でもない。なのに時々情報を得るため、ビデオ撮るだめだけにジャムに来るような輩とはいられないね。それがそいつらが「追っかけ」たる所以だけれどね。奴らはライディングそれ自体のために、その場にいることには興味がないんだ。奴らは「この様子を全部ビデオに撮って、これをやらなきゃ・・・」って感じで、自転車に乗ろうとする時はウザイね。ウォームアップして10分だけ乗って、最初の5分のライディングをテープに収める必要なんてないんだよ。幻滅だよね。っていうのも、ジャムでビデオを撮られることは俺の仕事じゃないし、ただそこにいるだけだ。なぜならそれがイベントで、それは俺を含めた「みんな」のものだからだ。ショーやなんかとは違う。全くそんなんじゃない。

BD:ちょっとそういう奴等は「真似はもう沢山」って本を読む必要があるね?

KJ:そうだね、そうしたほうがいい。

BD:(笑)

KJ:(デイブ・ミラのフィンガーバイクで遊ぶ)

BD:デイブ・ミラの話題もいいね。僕らはデイブ・ミラがまだ小さい時、コンテストで見かけたね。

KJ:ああ。

BD:僕らが彼を見たとき、デイブは13歳だったけれど、その時彼のことをどう思った?

KJ:その時は、「なんてこった。こんな子供がいるなんて、BMXのどのカテゴリーでも才能があって、その全てにおいて俺らを上回っている。しかもまだ13歳で、このままいけば、スポンサーにしてもコンテストにしても、どえらいことになるぞ」って思ったね。俺らはデイブにゾッコンだったよね。まだ子供なのに、あそこまで上手いライダーなんて、そうそういないからね。多分、今じゃもっと若くて才能もあって、メディアへの露出も多いようなライダーが沢山いるかもしれないけれど、当時はデイブのような子は見たことがなかった。ホフマンは初めて見た、才能を持った若いライダーの1人だったね。まだ小さいのにグングン伸びていて、デイブがその後すぐに続いたんだよ。

BD:そうだね。僕らはデイブをヨーク(ケビンらの地元)に連れて帰って、とにかくありったけのパーツをあげたりしたね。君はフレームもあげていたよね?

KJ:ああ。古いスカイウェイをね。

BD:そりゃ凄い。まだデイブと話したりする?結構会ったりする?

KJ:いや、会わないね。彼がどこかでショーをやったり、コンテストをやっている時に俺がそこに行った時くらいだな。グラビティゲームとかで、ちょっと話したりしたけど。それ以外は電話したりとかはしないな。彼は彼の道を行っているんだよ。いいことだよ。

BD:君を感心させるようなライダーは誰?好きなライダーは?

KJ:うーん・・・

BD:フラットランダーに限って言えば?

KJ:フラットランドのライダーね・・ハッキリ言って、テレビやビデオで見るプロのライディングには驚かされるよ。いつも誰かしら、才能のある奴がフラットランド界にいるのはいいことだね。フラットは難しいし、お金の面で言っても得るものは少ないから、フラットを続けることは難しいんだよね。仕事をもっている人はどうにか4,5時間乗る時間を見つけて練習している。だから凄いトリックを繰り出すライダーや、乗り続けているライダーには感心させられるよ。

BD:君がもうやってしまったトリックをやっているようなライダーを沢山見たりする?バリエーションやトリックそれ自体に関して?

KJ:トリック的に?そうだね。俺がやっているトリックは沢山あるし、いつか誰かやるんじゃないかなと思っている。つまり、みんなからすれば、俺のトリックはビデオでしか見られないし、それ以外にも沢山いろんなことしてるけれど、そんなの見たことの無い奴は俺が何のトリックをしているなんて分からないよね。でもそれはいいことだ。みんなが挑戦するからね。彼ら自身で考えるから。

BD:出来ないトリックっていっぱいある?

KJ:うーん、単発のトリックで、見て出来ないようなのは無いけれど、技のつなぎやスピードとかになると、結構つらいかもね。トリックそれ自体に関しては、出来ないのは無いね。でもそういう風に考えたことはないな。
誰かが、自分がやらないトリックをやっているのを見て、そういう風に考えたくはないな。誰かのをみて、「あ、これやってみよう」とかは考えたくない。コピーはしたくないね。口で説明するのは難しいけれど。つまり、みんなそれぞれのスタイルを持っているんだ。誰のコピーも出来ないんだよ。正確には言い表せないんだけれどね。自分のスタイルを貫いて、それがどこへ向かうか見定めるんだ。

BD:どうしてそういう考えにたどり着いたの?多くのライダーは、特に僕らが乗り始めた頃は、プロがやること、雑誌に載っていることばかり追いかけていた。なんで自分の方向性を持つようになったの?

KJ:それはまだ発展途上だったからだろうね。フラットランドが生まれたばかりの頃、当時のプロたちは上手かったけれど、キャリアはそんなに長くなかった。だから実際、俺らの遥か上を行っていた訳ではなかったんだ。進歩、という面ではたかだか2,3年しか前を行っていなかった。その時点ではコピーすることしか出来なかったんだ。
追いついた後は、違った方向に行かなければならない。彼らと同じように同じことをズーッと続ける道を行かない限りね。俺はコピーすることは悪いことだとは全く思わない。いいな、やりたいなと思うトリックを見て、それがいつまでも、自分にとって1番のトリックであり続けるなら、全然悪いことじゃない。それがやる気を維持してくれるんだ。新しいトリックを習得したり、他の人のトリックから影響を受けるってことで。

BD:まだやる気はある?

KJ:もちろん。やる気まんまんだよ。でもかつてのように1日10~12時間、30~40日間ぶっ続けで乗っていた頃には戻れないけれどね。簡単なトリックはやり尽くしてしまったから、殆どの時間は退屈してる。簡単に出来るような種類のトリックで、出来ないものはもう無い。1日かけて練習するようなトリックは、俺にとってもはや存在しないんだ。まず思い当たらない。基本のトリックは全て、遠い昔に全部やっちゃったからね。

BD:まだやりたい、と思うようなことってあるの?

KJ:まだやりたいことは残っているけれど、練習したくて、外に飛び出ていくような、メチャクチャやる気を起こさせるようなトリックが沢山ある、とは言えないな。「これやって、あれやって・・・」ってワクワクするトリックは無い。全体的にこうなりたい、っていうイメージはあるけれど、この先4年くらいかけてやる、延々続くような新しいトリックのリストはないだろうね。

BD:クロスフットヒッチハイカーからバックワーズバックパッカーのコンビネーションは、いくらやっても新たに学ぶことがある、って言っていたよね?

KJ:ああ。

BD:まだその気持ちで乗っている?なんかトリック1個を決めて、1,2年掛けて学ぶ、っていうような。

KJ::ああ。まだ出来るよ。でもそのトリックを本当に好きにならなきゃならない。それに俺はこれまでにも俺が「好き」と言えるような沢山のトリックを考え出してきた。
俺は自分が好きなトリックを出来る人間でありたい。そうすると、そういうトリックを維持するのに、また時間が沢山取られ始めるんだ。分からないけれど。「新しいトリックをやらなきゃ、とにかくやらなきゃ、」ってヤッキになっているだけでもないんだ。自分がやりたい、と思ったトリックを少しでも多く出来るようになりたいのと、維持したいトリックが沢山あるから、とにかく長い時間がかかる。
昔やっていたようにまた駐車場に居座って、たった1つのトリックを1日数時間、半年くらい掛けて、決めるまで練習出来るかは分からない。ただ持ち技を維持しつつ、出来る限り早いスピードで進化して行くってこと、その2つを上手くバランスをとらないといけないんだよね。わからないけれど、説明するのは難しいな。

BD:どうコンテストから遠ざかっていったの?

KJ::うーん、すごくいいトリックを持っていて、例えば、本当に好きなトリックで、コンテストでそれをやらなきゃ、っていう理由があれば、コンテストに出ようと思う気持ちも出てくるかもしれない。でも、今の時点では、コンテストに出場することはまずありえない。なんか凄いトリックを考え出して、自分のためにそれをやりたくて、コンテストで見せたいと思わない限り。
普段やっているトリックでそう感じることは無いね。今やっているトリックを人に見せることでヤル気になったりすることは全くない。もう出来てしまったことで、自分のためだけにやるのがいい。もう今は、人にトリックを見せる必要なんてないんだ。

BD:Dorkin 4はどうだった?君がウイップラッシュをするところをビデオに撮って、君の自転車にはフロントブレーキがついていなくて、フロントブレーキ無しでいくつかトリックを見せたりしてたよね?

KJ::そうだね。

BD:なんで、まだブレーキをつけてライディングしているの?いったん外したら、誰も戻そうとしないのに?

KJ:: ブレーキを使わない、使うってことはどっちも必要だからね。あるトリックを正しいバランスでやるために、ブレーキを使わないで練習したいと思ったら、別にブレーキを外さなくても出来るんだ。
これまでに、ある決まったトリックをやるのに、いちいち「ブレーキを外さなきゃ」と思ったことはない。だから、「そうだな、これはブレーキが無いほうがスムースに行くな」と決めたら、ブレーキを使わないでやるだけだ。
ブレーキを使うトリックの中にも、好きなトリックが沢山ある。だからノーブレーキ、ブレーキ有りのライディング、両方の長所を、ブレーキを付けたままで身に付けたい。ディケイドとかはブレーキを使うし、そういう時はブレーキを使う。それだけだよ。何んでもかんでもとにかく試してみようとは思わない。使った方がいいものは使おう。

BD:君は誰とでも乗るね。沢山の人と。誰と乗るのが好き?

KJ:多分、俺と似たようなライディングの取り組み方をする人とだね。みんなと乗りに行くのも楽しいよ。みんな乗りに行きたくて、電話してくる。みんなと乗ると、最後に「いい時間を過ごせた」って思うんだ。
何か決まったことを練習するような人、または何か決まった理由のために乗っている人、とか「これを写真に撮るんだ」とか「ビデオに撮るんだ」っていうような奴には興味はない。俺が好きなのは毎日、普通のライディングを楽しんで乗るような奴らだ。雑誌やコンテストに関係なく。
「今日はいい天気だ。乗りに行こう!」みんなと乗りに行くっていうのは、それが最高だからなんだよね。

BD:子供にトリックを教えたりする?

KJ:カリフォルニアから地元に戻ってきて何年か経つけれど、どんな場所でも、やる気がある子を見つければ誰でも応援したい。パーツをあげたり、チャリを直してあげたりとかね。
自分自身にとってそれが普通なんだ。まだ初めて半年くらいの14歳の子と乗りに出かけて、その子がヒッチハイカーのやりかたを聞いてくる。その子にとってはヒッチハイカーは、僕が考え出したトリックだなんて知らないし、ただどうやるのか聞いてくるんだ。俺は座ったりせず、その子に「考えてみろ」とか言ったりする。もしかしたらその子は考えないかもしれないけど、それは関係ない。自分自身にとってもいいことなんだ。会った人、フラットに興味を持った人、相手は誰でもいいんだ。教えるっていうのはいいことだよ。

BD:子供たちに、素性を知られないままでいたい?彼らは知らないんだ。「なんてこった!ケビン・ジョーンズだ!」って。

KJ:そうだね。それの方がいいね。みんな最初「あー、凄く上手いね」とかなんとか、それから「あ、それ雑誌で見たことある」ってなるんだよね。俺はただ彼らを手助けする誰か、っていう立場でいるほうがいい。実際それが本当の所なんだから。俺はただそこにいて、みんなを助けているだけなんだ。
もしみんなが雑誌の中に僕を見つけても、「あの人は有名人なんだ!サインをもらわなくちゃ」ってなって欲しくない。事実を知る前と同じでいて欲しいよ。僕が無名のライダーだろうが、そうじゃなかろうが、彼らにトリックを見せたり、教えたりするんだろうし、何も変わらないんだから。

BD:そうすると、君は自分自身のことをプロだとは思っていない、他のチャリバカたちと一緒だと?

KJ::俺は自分のことをプロだなんて思ったことは1回たりともない。BMXに乗り始めてこのかた1回も。プロなんて響きは俺には似合わないよ。ハッキリ言って、その定義もわからないしね。どんな世界にもプロはいるからね。でも、とにかく今まで1度も、自分から「俺はプロだ」なんて言ったことは無いね。プロとして1,2回コンテストには出たけれど…

BD:ケブ、もう一回なんでフラットがダメなのか教えてくれる?

KJ::フラットがダメなことはみんな知ってる。バイクはクソで、ブレーキもマトモに動かない、フリーコースターも使い物にならないし、全部。それだけだ。

BD:ランプにハマっていたほうがよかったと思う?ランプライダーはもっと気楽に考えているのかな?

KJ:いや、ランプライダーも苦労しているよ。彼らのほうがパーツを曲げたり、ねじったり、フレームにヒビが入ったり、シートを飛ばしたりして、違うようだけれど、基本的には変わらない。
自転車の、どのパーツを取って見ても、ほとんどワケがわからない。幾らでもタダでパーツをもらえるか、金持ちで無い限り、自転車をいつもベストの状態に保っておくのは大変だね。
だから子供にとって自転車に乗るのがいかに大変か分かるよ。いつまでも自転車と格闘しなけばいけないから。自転車屋は、実際直し方もわかっちゃいないのに、法外な修理代を吹っかけてくるし、子供たちにとっては情報を得るのも大変だよ。だからフラットランドはダメだ、って言いたいんだよ。

BD:それが彼(ブライアン)が言うべきことだね。みんなも「なんでフラットがダメなのか」って記事がこのホームページに載っているか確かめてよ。(笑)
KJ:でもそれだけだ。小さい子供にとってはね。「このシート、$40もしたんだ…」ってね。

BD:ってことは、もう自転車の整備に時間は掛けたくないってこと?もうウンザリ?

KJ:自分のためならやるよ。昔は、みんなやり方を知らなかったから、人のチャリを直すのも手伝ったけれど、今は車輪をバラして、ハブを組み立てて、新しいスポークを張りなおすだけの忍耐力がないよ。つまり、自分のためなら出来るけれど、もう人のはね。…チャリの整備に時間を掛けるのは、楽しいことでもなんでもないよ。

BD:どういうパーツが消耗する?

KJ:大体小さいものだね。タイヤ、シート、グリップ、ケーブル、レバーとかは削れるし、そのくらいかな。車輪やフレーム、ハンドルバーとかは今のところ長持ちしてるね。

BD:君は本格的なスポンサーを持っていないけれど、誰かから、多かれ少なかれ部品とか提供してもらってる?

KJ:結構あるね。クリス(ヤング)のインフィニティーからはかなり助けてもらってる。何もいわず助けてくれる。俺は彼のために動いたりしないし、コンテストにも行かない。普通、スポンサードされているライダーがやるような、その会社のロゴが入った、または製品の服を着たり、コンテストに出たり、決まったビデオに出たりとかは一切していない。契約とか交わしたりもしていないし。とにかく俺のやっていることを手助けしたい、って人だけに助けてもらってる。で、俺が気に入れば、使わせてもらう。今までの俺のスポンサーっていうのはそんな感じだね。

BD:どういうモノをスポンサードされたい?

KJ:うーん…

BD:っていうのも、オデュッセイのジェイソン ピシュケが僕らに部品を送ってきてるんだ。

KJ:オデュッセイの製品は凄くいいよね。俺は好きだな。今まで手に入れられなかったのは、RL Edgeタイヤだな。でもスポンサーについては、そんなにがっついたりしてない。けど、いつも新しいRL Edgeをリアにつけられたらいいだろうな…

BD:あ、それとレフ(バリン)は君にシューズをくれたりする?

KJ::今年の初め頃に、エトニーズを何足か貰ったよ。レフからもらったのは履き心地がいいよ。エトニーズのネイト(ハンソン)に話をつけてくれてたんだけれど、嬉しいね。

BD:そうすると、エトニーズは君にシューズを送ってくれるの?それともレフと通して?

KJ::うーん、最初のレフからもらった2足のシューズだけだよ。今のところ気に入っているし…だからこの先もシューズがもらえるか、彼らと連絡を取りつづけるかどうか考えているところなんだ。継続的に貰えるようになったらいいけれど。っていうのもシューズを潰す度に、毎回買えるほど金を持っていないからね…どうなるだろうね。

BD:これをブライアン(このホームページの主催者)が音源ファイルにしてみんなに聴かせないようにして欲しいんだけれど、君はそのデイブ ミラのアクションフィギュアが好きなの?

KJ::ああ。いつも遊んでる。面白いよ。ウチの母親がいつも俺にデイブのこと尋ねてくるんだよ。「いったいデイブは何をやっているの?」ってね。ヤツは凄いよ。

BD:君のお母さんは、彼が電話して来た時、小さな女の子が電話してきたのと勘違いしなかったっけ?

KJ::当時デイブは13歳だったけれど、やっけに声が高くて、でもそれがデイブにとっては一番の重低音だったんだよ。

BD:君に電話してきたり、何年もに渡って手紙を書いてきたりしたイカれた奴らのことを話してよ。

KJ:: 当時、俺がまだスポンサードされていたころ、最初のコンテストで上手くいって、スポンサードされたんだけれど、その時、他にも幾つかの会社から手紙を貰ったんだ。子供みたくね。
ほとんどの手紙はよかった。でも手紙や、電話、または直接俺に具体的にこう聞いてくる奴がいる。「これはどうしてる、あれはどうやってる?」ってね。そんな細かいことまで聞いてくるのはなんかおかしいよね。目の前でトリックを見ているのに、「そのトリックはどうやるんだ」ってね。で俺は、「それは、うーん、こういうことかな。とにかく、練習したんだ。」って答えるしかないよ。みんな秘密を知りたがるんだ。トリックとかに関してね。

BD:それって子供もそう尋ねてくるの?「ハング5はどうやるの?」って?

KJ::そうだよ。みんななんかしら秘密の方法があると思っているんだ。それを彼らに言うと、「あー、それを俺は見落としてた」みたいな反応をするんだ。彼らは「とにかくやる」ってことを分かってないんだ。上手く行けば、上手くいく。もし上手く行かなくても、やり続ければいつか出来る。自分の最大限の思考力を使って、出来るだけ早くコツをつかもうと考える、それだけさ。

BD:チェイスがフリースタイルの秘密の鍵を探しに来た時のように?

KJ::そうだよ。俺はあいつに安く売ったからね。だから…今は彼はそれを持っている。だからもっと知りたい子はチェイスに手紙を書けばいいんじゃないかな。

BD:君はネットは見れないんだよね?

KJ::ああ。コンピューターは持っていない。タイプライターだけだよ。

BD:いいんじゃない。みんながビデオを送ってきたりする?外の世界で何が起こっているか分かる?

KJ::いや。っていうか、少しは分かるけれど、でもそれを最小限にしようとしている。必要のない情報は最小限だけにとどめるようにしている。「あー、誰それがコンテストで勝って、だれそれが何をして…」っていうのを、一度聞いちゃうと、無視していられなくなっちゃうんだ。だけれどそれは必ずしも俺に必要なことではない。いつも誰が何をやっているかってことに耳をそばだてている必要はないんだ。やりたいことをやればいい。それが面白くて仕方ないなら、それ以上は言わないけれど。それだけ分かっていればいい。

BD:チェイスは君より上手い?

KJ::うーーーーーーーーーーーーーーーーん、どう答えればいいのか分からないな。チェイスだからってわけじゃなくて、誰についても名前を挙げられるよね。「誰それは誰それより上手い?」って。そういう風にはライダーを見ないな。ジャグリングのコンテストとかそんなんじゃないんだからね。
そりゃ比べようと思ったら、どの世界にも絶対、一番上手い奴っていうのはいるんだろうけれど。確かにコンテストとか、そういう競争の場はあるけれど、フラットランドはもっと、個人的なものなんだ。誰が勝っただの、誰が一番上手いだの…そういう場にばかり目が行ってる奴もいるね。でも俺がコンテストに出場していた時はいつでも、すごくいいランが出来て、1番も取れて、って言ったけれど、だからって俺は、その場で順位が下の奴より上手い、と思った事は無い。それって単に、コンテストに限ったことであって、または何か他の理由からだろう…。

BD:チャド(ディグルート)は君より上手い?

KJ::もちろん。(2人とも笑う。)そんなの分かりきっているよ。チャドは俺がやっていることより何倍も難しいことをやっているよ。だからそう言える。

BD:もう君も34歳になるね。

KJ::5月でね。

BD:そこで僕の質問なんだけれど、君は、みんなから、君のお母さんからはもちろん同じ質問をされたことがあるだろう。僕が足を折った時もそうだった。みんな僕に聞いた。「いつになったらやめるの?」ってね。

KJ::次の質問。

BD:なんで。

KJ::俺がいつやめるかだって?

BD:今まで考えたことある?

KJ::ああ。毎日頭から離れないね。みんなから聞かれたり、言われたりするよ。「ずーっとそれをやり続けることは出来ない。乗り続けることは出来ないんだよ」ってね。でもずーっと続くよ。少なくとも俺には終わりが見えない。自転車に乗り続ける限り、やる。どんな理由があってもやめるなんて想像もつかないね。怪我とかで乗れなくなったら、最悪だろうね…

BD:君は足を2回くらい折ったよね?

KJ::いや、もっと一生引きずらなければいけないような大怪我のことだよ。目が見えなくなったりしたら、どのくらい乗りたい気持ちになるかなんて、想像もつかないよ。自転車を乗り回すのが好きだし、駐車場でも座っているのは嫌いだ。トリックをやっていない時も実際グルグル自転車をこいでいるしね。それがいいんだろうね。

BD:自転車以外に何をするのが好き?

KJ::マーティンチップスを食べること、みんなとダベることかな。わからないけど。みんなも普段やっているようなことじゃない?時間を潰すこと。テレビを見たり、映画を見たりとか。なんか面白そうなことを探す。他のスポーツには興味がないし、そういった類のことには関心がない。日常のことだけだね。メシを食って、起きて、乗ることを生活の中心にしようとしている。ライディングだけが、自分なりに上手くなろうと努力する、ハマっていようと努力する唯一のものだね。

BD:わかった。この質問はくだらないけれど、これで締めたい。

KJ::いいよ。

BD:沢山の人がこれを読むだろうけれど、みんな忘れちまうだろうね。

KJ::ああ。

BD:これを読むのに時間を割いてくれたみんなになんて言いたい?初心者かもしれないし、プロかもしれないけれどとにかくこれを読んだみんなに、なんて言いたい?

KJ::うーん、そうだね。もしライディングに興味があるのなら、これを読んでいるのなら、自分が好きなものをライディングの中に見つけようとすることだね。なんでもいいんだ。それがコンテストなら、飽きるまで追い求めればいい。「ライディング」っていう範疇の中なら、興味があることをなんでもやってみるのがいいんじゃないだろうか。
ただ乗りたいだけで、ビデオに出ようなんて思わない、コンテストにも行きたいと思わないなら、それもいい。なぜなら、それでも「ただ乗る」って事に君が楽しみを見出しているからだ。それが何よりも大切なことだ。
 チャリに興味がある奴はほとんど誰もが、やりたいからやっているんだ。嫌な事は気にするな。嫌なら、無視しろ。やりたいことをやって、それを広げるんだ。それだけかな。

BD:それと最後にもう一個質問。CL(クアーズ ライトビール)飲みたくない?

KJ:いいよ。行こう。

BD:じゃ。

KJ:後で。